秋の再会

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初めての体験の夏も終わりが近づき、頻繁に敏也とのメールのやり取りが繰り返され、二人とも勉強そっちのけだったのか、夏美だけ、そうだったのか今秋の二人の思い出作りにやっきになっていた。やはり女の子としては渋谷、青山、代官山や吉祥寺にも行きたいけど、敏也にプランを委ねた。返信は待ち合わせ場所だけ書いてあり、夏海を驚かせたいプランにしたいとだけ書いてあった。それならとOKした。本当は何処でも良かった。彼と一緒なら永遠に共に居られるのなら田舎にお嫁に行っても良いと、かなり先走りの、つのる想いが、願いが胸にイッパイになって入りきらないほどだった。クラスメイトは毎日ニコニコ顔の夏美が不思議に思えたが、自分達と同様、修学旅行が嬉しくて、楽しみで仕方ないのかと思うだけだった。グループのプランにも京都や奈良のガイドブックで色々と調べて積極的だったので、仲間は感心するほどだった。そうして、ついに千歳空港から羽田へとみんなを乗せた飛行機は飛び立った。北海道はもう紅葉が始まる十月なのだが、東京や関西はつい最近夏を終えたばかりの季節だった。札幌はこれから厳しい季節が近づき、勿論雪まつりやスキー場で、冬を漫喫する人達は楽しみではあるが、吹雪で交通が混乱したり、 とにかく凍てつく街へと変貌して行き、降り積む雪を踏みしめて暖かい春を待つことになる辛い日々でもある。
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