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――私は一番になれない。
もう何度繰り返したか分からない言葉が胸の中でドロドロと溶けて渦巻いていく。狂おしいほどの切なさに涙が零れそうになる。
愛しているのに、そっと呟いた言葉は吐息となって消えていく。
「あ……っ、もう嫌……助けて……」
愛欲に塗れ、ボロボロと涙を零しながらか細い声で許しを請う愛しい者の姿に悲しく目を細める。そっと頬に触れようとすれば、華奢な身体がビクリと震えた。
ガシャリと両腕を拘束する鎖が揺れる音がした。逃げようと身体を捩らせ、上へ上へと必死に向かっていく足の首を掴んで引きずり寄せた。
「だめ、ですよ……?」
耳元に唇を寄せ囁けば、恐怖に顔を引き攣らせる。
愛欲に濡れた肌を愛おし気に撫でれば、敏感な肌は過剰なくらいに反応を返す。
「や……やめ……ん、ああ……っ」
「逃げないで」
ただ愛してほしかった。
一番になりたかっただけなのだ。なのに、どこから間違えたのか永遠に一番にはなれなくなった。
愛おしい者との世界を埋めるのは恐怖と悲しみ。
「逃げないで……」
「やああ……!やめ……っ!もう許してええ!!ああ……っ!!!」
「くっ……」
一気に貫いたそこを荒々しく責め立てる。首元に噛みつけば、悲鳴とともにそこは苦しいほどに締めつけてくる。華奢な身体がビクビクと震え果てた。
「ああ……あぐっ……ああ……」
「だめ、ですよ……」
まだだ。まだ足りない。もっと欲しい。
虚ろな瞳は虚空を見つめ、だらりと力を失くした身体が限界を告げていることを感じていても休めさせてやることができない。
唇を離し、噛みついた場所を見つめれば赤く充血した傷跡が白い肌に映えるように存在していた。
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