第2章 唐突すぎる覚醒と始まり

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ガチャッ バタン 「待たせてゴメン!」 両手を合わせ、真っ先に謝った。 「そんな気にしてねーし。どうせ兄ちゃんにでも捕まってたんだろ?あのブラコンブラザーズの事だしよ。」 これくらい許容範囲だ、と続けた言葉に少しほっとした。 だが、ちょっと引っかかる。 「ん?流してくれるのは有り難いけどよ…何だそのブラコンブラザーズってのは?」 「は?何、カルミアお前…気付いてねーの?お前の兄ちゃん達かなりのブラコンだぞ?」 あの…勿体無いぐらい出来た人達が…ブラコン? いや、何処がだよ…そんなのあり得ないし。 「具体的には?」 一応聞くだけ聞く事にした。 「何つうか…カルミアに異常に甘いし、溺愛してますって身体中から感じるんだよ。 特にフォルス兄ちゃんの方から。 まあ…サジェス兄ちゃんは隠れブラコンって感じだな。 この辺の人達ならブラコンブラザーズで普通に通じるぞ。 ちなみに通称はB.Bだ。」 嘘だろ…てかよ… 「お前…親友の兄の事…そんな目で見てたのか…ずっと。ちょっと流石の僕でも引いちゃうな…」 「お、おい!何だその目線は…そんな目で俺を見るなぁああ!だってよ…兄ちゃん達と話すとさ…どんな事話題にしても、結局は全部カルミアの話になるんだよ!そんなの目の前で見て、ブラコンだと思わない方が可笑しいし…」 目を潤ませ、弱々しくそう愚痴る様子は捨てられた子犬よりも小さく、何だか哀れに見えた。 チッ…このままじゃ、僕が悪者じゃないか… 「はあ…事情は分かったからよ。取り敢えず、その目普通に戻せ。目、腫れるぞ?折角のイケメン顔が台無しだ。」 出来るだけ穏やかな笑みを浮かべ、頭を撫でた。 全く…相変わらず撫で飽きないな。 「わ、分かった。」 そう言って、意識を集中させ、詠唱を唱えた。 「汝の水を固めるは我 汝に願うは冷却ーリスファディスモ」 冷却ーリスファディスモは、水魔法の応用である氷魔法の一種。怪我や病気などで、熱を持ってしまった患部や体の一部を冷やし、自然治癒を促進させるが、支援・医療・日常系の魔法にもなる為、戦闘向きとは言い難いものだ。
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