第一章 とある夏の日の一幕

7/8

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「まあ、確かに魔流が今でも来てないのは、心配だが…個人差があるからな。あまり過度に心配する必要はないだろう?」 常識めいた言葉にサジェスは不安を覚えた。 今から語る事は憶測で、ただの戯言でしかない。 そんな事に耳を貸すだろうか?だが、言わねばカルミアが… 数秒の逡巡の後、話を始めた。 「確かにそうだね。でも、カルミアからは魔力を感じるんだ。僕が4歳の時からね。」 「は……?サジェスが4歳ってことは…カルミアが2歳の時だろ?いくらサジェスでも、それは…」 驚愕に染まった顔と戸惑い、疑いに満ちた声。 だが、言葉にはサジェスへの信頼も垣間見えた。 サジェスは、魔力感知能力が人の域では無いほど優れており、その能力は魔流が来た瞬間からのものだ。サジェスの魔流は4歳。 いくら早くても3歳以降から魔力は宿る。 それは丁度立つ事が出来るようになる時期。 魔力が宿る器…つまり人体がある程度出来ていなければ、人体破損の上最悪の場合、死に至る。 2歳で魔力が体に宿るなんて事はない。 増してや、魔流無しになど。 「いいや、これは本当の事だよ。あんなに純粋で暖かくて綺麗な魔力…間違えるわけが無い。それに量も周りの大人並だった。でも、さっき感じた限りじゃ、Sランク冒険者並になってたんだ。」 「え、Sランク!?そんなの最早人外に近いじゃねぇかよ。つか、俺たち普通に越されてないか、それ。」 驚いてるのか、つっこんでるのか、よく分からないテンションで言ってきた。 「ああ、もう普通にね。どこまで増えるか気になって、あんまり気にして無いけど。それに僕らの弟なんだ。凄くて当たり前だよ。」 何処か誇らしげな顔をしてそう言う様子に、フォルスは満足げに笑った。 「そうだな、可愛い可愛いウチの弟なんだ。凄くて当然だったな!」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加