待って、お嬢さん…

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B「あの…お嬢さん!」 七夕の夜、すれ違った女の子。 僕は可愛らしい浴衣を着たその子に、思いきって声を掛けた。 A「はい?」 振り返り怪訝な顔をする彼女。 僕は迷っていた。声を掛けたものの、何と言えばいいか… A「なんですか?急いでるんです、彼氏と待ち合わせしてて…」 B「そうですか…」 まぁこんなに綺麗な子だ。彼氏くらいいるだろう… B「あの…浴衣…綺麗ですね?」 A「…はい?」 どうする?言うべきか、言わざるべきか… B「あの…襟足が…気になって、ほら…」 A「…何なの?気持ち悪い、警察呼びますよ?」 B「いや…」 A「サイッテー!」 B「あ、待っ…」 怒りを露わにし去って行く彼女を呆然と見送った。 残念だが僕の想いは1ミリも届かなかったようだ。 待ち合わせか…可哀想に… 僕はやるせない想いをそっと短冊にしたためた。 「襟足から値札がぶら下がってますよ」と…
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