2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
B「あの…お嬢さん!」
七夕の夜、すれ違った女の子。
僕は可愛らしい浴衣を着たその子に、思いきって声を掛けた。
A「はい?」
振り返り怪訝な顔をする彼女。
僕は迷っていた。声を掛けたものの、何と言えばいいか…
A「なんですか?急いでるんです、彼氏と待ち合わせしてて…」
B「そうですか…」
まぁこんなに綺麗な子だ。彼氏くらいいるだろう…
B「あの…浴衣…綺麗ですね?」
A「…はい?」
どうする?言うべきか、言わざるべきか…
B「あの…襟足が…気になって、ほら…」
A「…何なの?気持ち悪い、警察呼びますよ?」
B「いや…」
A「サイッテー!」
B「あ、待っ…」
怒りを露わにし去って行く彼女を呆然と見送った。
残念だが僕の想いは1ミリも届かなかったようだ。
待ち合わせか…可哀想に…
僕はやるせない想いをそっと短冊にしたためた。
「襟足から値札がぶら下がってますよ」と…
最初のコメントを投稿しよう!