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ようっと言って、花蓮の部屋のドアを開ける。
いつもの俺なら、声を出して入って来ることはなかったから、花蓮はビクッと驚いていた。
「こんにちは」
キョトンと驚いた顔をして、花蓮は挨拶をした。
「今日も来ないかと思った」
花蓮は平然を装って、悲しそうな顔をしているように見える。
俺はこんな顔をさせてしまったと心の片隅で反省しつつ、花蓮に断言する。
「学校での俺は面白いやつなんだぞ。だから、俺は人を悲しませることをするのが性に合わないんだ。だから、もう俺は花蓮から逃げないと決めた」
あっそう、と花蓮は俺の言葉を信じていない反応をした。
そんな反応さと、今までの俺は嫌々ながらここに来ていたことが悔いに残る。
「ねぇ、傘持って来た?」
突然、花蓮は聞いてきた。
「今日の天気予報では一日中晴れだから、持ってきてないぞ」
俺は答えた。
「今日は雨が降るから、傘持ってきてないなら早く帰った方がいいよ」
ああ、これは花蓮の雨予知だと思った。
俺は引かないと心に決め、その話題を乗っかってみた。
「なんで、今日雨降るとわかるんだよ」
花蓮は表情も変えず、答える。
「私には透明な雨が見えるの」
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