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透明な雨。
透明な雨って、どんな雨なんだ。
と言うのが、最初に思ったことだ。
「信じられないでしょう。顔にかいてある」
俺を避けるように花蓮は窓の方を見る。
俺はちょっと慌てた。
「別に信じていないわけじゃない。いや、信じている」
信じていないような言い方をしてしまった。
また、傷をつかせるようなことをした。
自分の行動に心が折れそう。
「私しか、見えないことだから。信じなくっていいよ」
なら、なおさら信じてあげないと。
「信じる。花蓮一人だけしか、見えないのなら、花蓮がかわいそうだ。だから、信じやる」
と言ったら、俺の方を見て花蓮は笑った。
「無理しちゃって。優しいのね。ありがとう」
そう言ってもらえて、嬉しかった。
花蓮に笑顔を与えることができた。
もう、泣かさない。
「と言う話だ。どう思う」
俺は一通り話、反応を待つ。
「紫堂君、赤のこと狙っているのか?優しさアピールだね」
マスターは冗談で言っているのが、わかる。
「これだけじゃ、アピールにもなりませんよ」
俺も冗談で返した。
そう言う赤さんの態度はふーんと言って、不機嫌そうに黙ったまま。
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