あか

7/9
前へ
/21ページ
次へ
透明な雨。 透明な雨って、どんな雨なんだ。 と言うのが、最初に思ったことだ。 「信じられないでしょう。顔にかいてある」 俺を避けるように花蓮は窓の方を見る。 俺はちょっと慌てた。 「別に信じていないわけじゃない。いや、信じている」 信じていないような言い方をしてしまった。 また、傷をつかせるようなことをした。 自分の行動に心が折れそう。 「私しか、見えないことだから。信じなくっていいよ」 なら、なおさら信じてあげないと。 「信じる。花蓮一人だけしか、見えないのなら、花蓮がかわいそうだ。だから、信じやる」 と言ったら、俺の方を見て花蓮は笑った。 「無理しちゃって。優しいのね。ありがとう」 そう言ってもらえて、嬉しかった。 花蓮に笑顔を与えることができた。 もう、泣かさない。 「と言う話だ。どう思う」 俺は一通り話、反応を待つ。 「紫堂君、赤のこと狙っているのか?優しさアピールだね」 マスターは冗談で言っているのが、わかる。 「これだけじゃ、アピールにもなりませんよ」 俺も冗談で返した。 そう言う赤さんの態度はふーんと言って、不機嫌そうに黙ったまま。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加