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「それより、デートしーてー」
葵さんは急に俺の腕を掴む。
俺は固まる。
デート。
高校生以来、デートはしていない。
こんな、和服を着た綺麗で年上の人とデート。
どこに連れて行けばいいのだろう。
よく紫堂に連れられて、集団で女の子と出かけることはあった。
1対1のデートは同年代の女の子だけ。
なので、年上の女の人とは初めてだから、どうリードして行けばいいのか、わからない。
それに相手は今日会ったばかりの人。
赤の知り合い(?)だから、どんな変わり者かもわからない。
いつもは紫堂に任せきりだから、楽だった。
「行ってらっしゃい」
マスターは手を振りながら言う。
マスターは俺の気持ちを察してほしいという思いを潰した。
紫堂はポンポンと肩を叩き。
「何事も経験だ。少しは女子の勉強でもしてこい」
小声で言う。
いや、紫堂も一緒に来てほしいところだ。
「レッツだ、ゴーーー」
俺は葵さんに無理矢理連れ出される。
強引なところは赤と同じなのかな。
不思議なのは着物のまま走っていること。
走りにくくないのかな?
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