秘密の部屋

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   「いい加減一歩を踏み出さないと、彼女出て行っちゃいますよ」    木場が大草に耳打ちする。  「あ?余計なお世話だ。大人にゃ色々あんだよ…」  秋葉も大草の気持ちには気づいているようだ。  彼女の視線。仕草。それとなく大草に気を遣っているような感じがする。  彼女は待っているのか、それとも身もふたもないが、意中にないのか。  「そういやさ、2‐4に海鳴ってやつがいるじゃん?」  大草がビールの缶を開けながらそう切り出す。    海鳴雀。樹の隣の部屋に住んでいる女性だ。  だが彼女が普段何をしているのか、全くわからない。    一度廊下で会ったが、軽く会釈をしただけだった。  ただ、何か不思議な雰囲気を纏った女性だったなと樹は思った。
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