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そして宴もたけなわ。
海鳴は「皆にささやかなお礼をしたい」と言った。
「別にそんなのいいんだぜ?大したことはしてないんだし。菓子だって貰ってるしさ」
「いえ、これは別にお金がかかるとかではないし、すぐに出来ることですし…」
彼女が意外にも頑として譲らない雰囲気だったので、無下にするのも悪いかという感じになった。
そうして彼女は、鞄からあるものを取り出した。
それは水晶のような透き通った小さな球体の上部に、糸が掛けられたものだった。
「何かTVで見たことある。占いの道具だっけ」
秋葉が興味深げに水晶を見つめる。
「占い、とは違うんですが、これを使って皆さんに催眠術を掛けたいと思います」
一瞬、場に静寂が降りた。
海鳴の言った意味を計りかねてか、またはその衝撃にか。
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