秘密の部屋

7/9

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
   そして宴もたけなわ。  海鳴は「皆にささやかなお礼をしたい」と言った。  「別にそんなのいいんだぜ?大したことはしてないんだし。菓子だって貰ってるしさ」  「いえ、これは別にお金がかかるとかではないし、すぐに出来ることですし…」  彼女が意外にも頑として譲らない雰囲気だったので、無下にするのも悪いかという感じになった。   そうして彼女は、鞄からあるものを取り出した。  それは水晶のような透き通った小さな球体の上部に、糸が掛けられたものだった。  「何かTVで見たことある。占いの道具だっけ」  秋葉が興味深げに水晶を見つめる。  「占い、とは違うんですが、これを使って皆さんに催眠術を掛けたいと思います」  一瞬、場に静寂が降りた。  海鳴の言った意味を計りかねてか、またはその衝撃にか。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加