秘密の部屋

8/9

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 「まさか雀ちゃんにそんな特技があったなんて。お姉さんますます興味深いわ」  いつの間にか呼び方が雀ちゃんに変わっていた秋葉が、心底楽しそうに言った。彼女そういったものが好きなのだろう。  「催眠術を掛けて、皆さんの『心のリミッター』を外します。そうすると普段理性や体裁や恐れのせいで、やりたいけどできなかったことができるようになります」  「もしそれが例えば法を犯したり危険な方向へ向かうような時は、私が掛けた『保険』が働くようになっています。なのでワタシの経験上これでほとんどの人は人生が良くなるか、最悪何も変わらないかです」  ここに来てから一番の饒舌だった。彼女の説明には人を引き付ける力があった。  「面白そう。やってやって」  「ちょっと怖い部分もあるが、人生が良くなるって言われちゃな」  「オレも、ぜひお願いしたいっす」   「…」  樹は特に反論することもなかった。  そして海鳴は、一人ずつに催眠術を掛けていった。    最後に海鳴は樹に催眠術を掛けた。    「…え?」  「…?」    その時、海鳴は何かに驚いていたように見えた。    そして樹自身も。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加