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190cm近くある大男のレオンが、150cmくらいのとても小柄なカエデと、大人と子供みたいで、私から見てもなかなか面白い組み合わせだった。
その頃、妻のイレーナが子供が産めない身体ということがわかり、跡継ぎについて考えなくてはいけなくなった。
アストリアで、一番の美女の誉れ高いイレーナ。
彼女は美しいだけでなく、気高く、優しい。
私にはすぎた妻であるけれど、世継ぎが産めないという、王族としての務めが果たせないことで、周囲からのプレッシャーが日に日に強くなっている。
そんな彼女を守ってやらねばと思うのは、妻としての愛情というよりも、共に国を守る戦友のような感覚に近いかもしれない。
そんな状況にあるというのに、私はカエデのほうが、心配でならなかった。
それが、イレーナをどんなに不安にさせていたか、後にわかることになる。
「エルドおじさん!」
私の胸に思いきり飛び込んでくる小さなレイに、どれだけ私が癒されたことか。
国での政争に疲れていても、国のことを思い、逃げられない私には、たとえ、自分の息子でもなく、ましてや妻でもないカエデが、唯一の現実逃避であった。
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