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そんな私たちが、互いを求めあうまで、それほど時間はかからなかった。
親友と同じ瞳のレイの愛情溢れる瞳に見つめられて、後ろめたさを感じながらも、私はカエデを手放すことができなかった。
それが。
ある日を境に、カエデは私との距離をあけるようになってしまった。
まるで、ただの友人のような距離に。
私が何かしてしまったのか。
それを聞いても、優しく微笑むだけで、それ以上の関係は、スッとかわす。
それと時は同じくして、年の離れた異母弟のカイルが、養子になることが決まった。
父の愛人の子であるけれど、私と似た容貌で聡明なカイル。子供を金で引き渡した母親ではあるけれど、カイル本人はとても素直で賢い子供だった。
そして、イレーナも彼を深く愛し、自分の出来る限りの愛情を注いでいた。
年に一度、コッソリと日本に来ては栄村たちと短い息抜きの時間を過ごすことが楽しみであったが、なかなか時間ができなくて2年ほど日本に行くことが出来なくなった間に。
カエデが、この世を去ってしまった。
かわいいレイを一人残して。
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