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そして、カエデ。
きみからの手紙を、今まさに私は読んで、きみへの怒りで、私はどうにかなりそうだ。
この手紙は、栄村が再び出張で来た時に手渡されたものだった。
カエデの葬儀も終えて、レイが栄村の家に引越しをするときに、出てきたという少し古くなった手紙。
封はしてあったけれど、切手も貼らず、小机の引き出しの奥にしまったままだったらしい。
もしかしたら、きみは、この事実をそのまま墓場にまで持って行くつもりだったのかもしれない。
きみが私から離れた理由。
私がきみに会えないでいた間に、私との子供を流産していたということを。
そして、二度と子供が産めなくなってしまったということを。
なぜ、私に教えてくれなかったのだ。
きみには過ちだったかもしれないけれど、私には素敵な思い出なのに。
"あなたの子供が生めなかったこと、それだけは謝りたかった。"
謝る必要などなかった。
私には、きみとレイがいてくれたことだけでも、十分だったのだから。
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