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「あんたの目の前で見せてやるよ。愛する女がどんなになるか」
煮えたぎる。
心を開いてもいいと思った男に一番残酷な儀式で汚される。
それは裏で高いカネになる。
数台ものカメラが儀式をとらえネットに映し出される。
「その後で、あんたは―――そうだな。湾で浮かんでるというのは」
あの夜。
祐を撃った。
それ以来、二度と握らなかった。
それまでどんな相手でも負けたりしなかった。
あの夜までは。
「…真、さんっ…」
名を呼ばれて、祐を見る。
「祐、しっかりと見てろ。これが俺だ」
もう逃げたりしない。
俺が俺であるために。
祐を守るために、俺は戒めを解き放つ。
突きつけられた銃口に手を伸ばした。
持っていても使えなければただの飾り。
あの男の手に握られた銃口を自分の胸に当てた。
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