『若恋』禁断の恋 肆

2/11
前へ
/46ページ
次へ
「あんたの目の前で見せてやるよ。愛する女がどんなになるか」 煮えたぎる。 心を開いてもいいと思った男に一番残酷な儀式で汚される。 それは裏で高いカネになる。 数台ものカメラが儀式をとらえネットに映し出される。 「その後で、あんたは―――そうだな。湾で浮かんでるというのは」 あの夜。 祐を撃った。 それ以来、二度と握らなかった。 それまでどんな相手でも負けたりしなかった。 あの夜までは。 「…真、さんっ…」 名を呼ばれて、祐を見る。 「祐、しっかりと見てろ。これが俺だ」 もう逃げたりしない。 俺が俺であるために。 祐を守るために、俺は戒めを解き放つ。 突きつけられた銃口に手を伸ばした。 持っていても使えなければただの飾り。 あの男の手に握られた銃口を自分の胸に当てた。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

242人が本棚に入れています
本棚に追加