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「真さんがわざわざ電車に乗るなんて何かあったんですか?」
俺付きの若い者がいつも車で出迎え大神組へと向かう。
今日は特別だった。
祐への告白の相手を確かめるため祐が乗るという電車の車両の端に乗った。
ひとつ手前の駅から電車に乗り込みどんな男なのかと祐の周りを見渡した。
こいつか。
電車の吊革につかまりスマホゲームをしてる30歳前後の男。
それとも、あいつか?
インテリ眼鏡に小説読んでる、隣より若い男。
見渡せばみんな祐の話した男なのかと思ってしまう。
電車の中には様々な男がいた。
祐が乗る駅で祐がゆっくりと乗り込んできて、ひとりの男の前に立つとはにかんだような笑みを見せた。
歳は祐よりも5つほど上か。
眼鏡に薄茶の髪。
「あ!」
隣にいたミツルが声を上げた。
「どうした?」
「またあいつら、悪い遊びしてやがるな」
「悪い遊び?」
ミツルが苦い顔をして声を潜めた。
「処女狩りですよ、あいつら」
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