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チリンチリン
「あのっ、店はもう閉店―――」
「どけ」
肩に手を置かれて反射的に宙を飛んで反対に肩をつかんだ。
痩せたスタッフの喉元にナイフを当てると、息を詰める音がして体は硬直した。
「上に行きたい。ひとりの女が連れ込まれたはずだ」
「お、お客様…そんなことは」
震える声で肩越しに振り返る、その目が俺を見て固まった。
「大神組の、」
「関係ない。女はどこだ」
今夜、ここに来たはずだ。
きっと食べた食事に薬でも盛られているはずだ。
「それは…」
「喉を引き裂かれたいか?」
「!!」
白状した痩せた男を解放すると転がるように店から出ていった。
店のスタッフが叫ぶ中、二階から三階への階段を駆け上がった。
「祐っ!!」
もう誤魔化せない。
「祐っ、どこだ!」
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