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「俺らはこいつらをシメてから戻る。真、おまえはやるべきことがあるだろう?」
「はい」
若は笑った。
「後で、借りは返してもらおうか。おまえの祝い膳でも食わせてもらえれば」
早く行けと、騒ぎで警察沙汰になる前に祐を連れて行けと目配せして、無様に転がった男の胸ぐらをつかんで引き起こす。
「これは俺のシマで好き勝手なことをした分」
若が思い切り殴る。
「これは彼女の痛み。そしてこれは真が受けた苦しみの分だ!」
歯が飛び散りゲホッと吐き出した。
この手で殺したかった男を若が生きる苦しみでなぶる。
「若、」
「おまえと俺は似てる―――」
さあ、行け!
震える祐を上着で包み立ち上がり、雑魚を捩じ伏せる榊と仁の脇を抜けた。
ウインクした仁から、落としたおまえの車のだと投げたKeyを受け取った。
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