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「まぁ、敷島さんっ!いらっしゃい、どうぞ家に上がってください!…祐、祐!」
―――祐
母親が娘の名を呼んだ。
俺が抗争に巻き込んだ少女。
あれから5年…時が経ち彼女は大人になっていた。
泣いて責める両親に初めは会わせてもらえず持っていった花束をぶつけ返された。
何度も通い、その度に娘は君に何をしたと胸ぐらを掴まれた。
「真さん、いらっしゃい。どうぞ上がって」
ひょこ、
少しだけ足を引き摺った祐がドアを開けて出迎えた。
神経を傷つけられた足は手術しても後遺症が残った。
毎月、彼女の家を訪ねて癒えない傷に謝罪する。
この5年で彼女も、そして彼女の両親も俺を許してくれていた。
手土産を祐に手渡すと、大好きなケーキと手放しで喜んでくれた。
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