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「……っ、」
祐を俺を五月雨のような柔らかい雫が降り注ぐ。
痛め付けられた体にあちこちしみた。
「……祐」
降り注ぐ柔らかさの中強く強く抱き締めた。
引き裂かれた服…
捲られた下着…
肌に無惨に散る痕…
祐を泣かせたその心の傷を消し去りたかった。
何度も何度も髪を撫でて背中を擦る。
恐ろしさに震え固まった祐を救いたくて。
未遂だった。
あんな奴らに何もされてない。
「……祐」
祐の震えが収まるまでずっと背中を撫で続け、やがて祐が顔を上げた。
髪から雫が落ちる。
濡れた瞳が俺をまっすぐに見つめあう。
「…五年間、ずっと祐を愛してた。だが、触れてはいけないと思ってた。俺はおまえの足を奪った男だ」
「真…さん」
「でも、もう譲れない。この想いだけは」
禁断の恋。
加害者が被害者を、
被害者が加害者を愛することは―――
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