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「で、今日の良き日に祝い膳なわけだな」
控え室で笑う若の前で膝をついて頭を下げた。
黒紋付き羽織袴のふたり。
今はふたりしかいない控え室で若の言葉が真実だったことを告げる。
「俺と真、おまえは似てるからな。土壇場で自分の中に閉じ込めた想いが爆発したんだろ」
その通りだった。
若が満足げに更に笑う。
「おまえもこれから守ってくものが増えるだろう。もう気持ちがブレることはないな」
「はい」
若の言葉に顔を上げた。
守る。
これから増える新しい命を守り育ててく。
それが俺の使命であり祐との絆だった。
「さあ、時間だな。行くか」
ふたり晴れ晴れとした表情で立ち上がって式場へと向かった。
―――禁断の恋
【禁断の恋・完】
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