晴に恵まれて

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 足早にお店の外に出ながら私は会釈を残していく。店の中の商品に当たらないように気をつけながら。 「お、おーう。頑張ってねー」  不思議そうな顔をしていた出羽さんを尻目に自動ドアをくぐり抜け、瞬間で私は電話に出た。 「もしもし!? レイカ?」 「も、もしもし」  声変わりが終わったばかりという男性の声。 「あれ……? ごめんなさいカケル君?」 「はい」  慌てすぎだと自分の頭を呪った。彼の声はさっき聞いていたよりも一段低く聞こえる。電話のせいだろうかと思いながら私は彼に問う。 「どうかした? 妹さん見つかったの?」  自分の早とちりに額を歪ませながら、それを悟られないような声色を作った。 「いえ、見つかりはしてないんですが、一つ聞きたいことがありまして」 「うん」  これも気のせいかもしれないけれど、カケル君は電話のときの方がハキハキというか、しっかり喋れていないだろうか? そんな疑惑を確かめようという気分ではないから隅に置くけれど。 「どこか人が隠れられそうな場所に心当たりはありませんか?」  隠れられそうなところ? おそらくカケル君は妹さんが隠れそうなところはどこかと見当を付けたがっているのだろう。よっぽど酷いケンカをしたのだろうか、それにしたって小学生の女の子、それもこの土地に慣れてない子がそう易々と人目のないところに身を投じるだろうか? 私は考えを整理しながら語りかける。 「んー、確かに隠れられそうな所ならいくらでもあると思う、例えば町のはずれにはいくらでも森はあるし、川沿いには雨水用の排水溝っていうか、土管みたいなものもあるよ、今日みたいな日は水もないだろうから人も入ってて問題ないだろうけど……」  小学生の時の私だったらどうだろう。カケル君の妹さんと立場が一致しているわけではないけれど、それでもある程度同じくらいの大きさに、怖さに世界が見えているはずだ。その彼女が見慣れていない自然の中に入りたがるとは、私にはどうしても思えなかった。 「たぶんそういう所にはいないと私は思う。女の子の足じゃ歩きにくいところも多いし、少なくとも人の住んでいるあたりからそんなに離れていないんじゃないかな。それに、もし森に入り込んじゃっていたら、カケル君や私だけで探しにいける事態じゃなくなっちゃってるよ。だから今は町の中とか、宿沿い、湖沿いを探すだけにしておいたほうが良いと思う」
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