晴に恵まれて

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 道の駅の周りは繁華街と比べると少し静かになっていた。ちらほらと客の出入りがあっても、そう騒がしくなることはない人数だ。雲もまばらな青い空の下、数秒返事のないスマートフォンを耳に当てながらそんな風景を見ていた。 「……分かりました。湖沿いを探していてふと思っていただけなんで気にしないでください。ありがとうございました」  そっけなく言うと、彼は電話を切ってしまった。不通音が一定のリズムを刻むと、私はスマートフォンの画面を眺めた。  今感じた違和感はなんだろう。  しかし、私がその違和感の正体に気がつくのはもう少し後のことだ。何故ならそのことに思いをめぐらせる前に、立て続けに電話がかかってきたからだ。今度は掛けてきた相手の名前を良く確認してから通話を始める。 「もしもしレイカ、今どこにいるの?」  やや腹を立てた雰囲気を醸し出そうとしながら私は携帯を握る。 「すみません、途中でちょっと野暮用を抱えてしまいまして。突然で申し訳ないんですけど、今から先輩の部屋使わせてもらっても良いですか?」  いけしゃあしゃあと良く言ったもんだ。少し乱暴に、言葉を放り投げるようにレイカを問い詰める。 「こっちの用件は無視ってこと? 野暮用って一体なにがあったの?」 「いやーちょっと大人に知れるとまずいことって言うか……」 「そんなことに私の部屋使わせられるわけないでしょう」 「センパイなら分かってくれるかと思って」 「そんな説明じゃなにも分からないって言ってるの!」 「えへへー」  不毛ともいえる言い合いをしていても仕方がない、私は盛大なため息を吐いてから電波を通じてレイカに告げる。 「分かったから、私も今から家に行く。それで良い?」 「さっすがセンパイ! 分かってくれると思っていました!」  妙な煩さで彼女は返したけれど、残念ながらそれについて行こうと思う気力は無かった。とりあえずレイカがなにをしでかす気なのか見届けてから、私は人探しに急いで戻らなければならない。 「あー、レイカ。一つだけ頼みたいんだけど、家に行く途中に小学生の女の子が一人で出歩いるのを見たら声をかけてあげてくれない?」 「小学生の女の子ですか? 例えばどんな感じの?」  快晴の空の下を自宅方面に歩き出しながら、私はレイカにカケル君の妹さんの格好を、文面だけだけれど思い出す。
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