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A:「どうしたのよ、立ち止まっちゃって」
B:「いや、なんでもない」
いつもとは違う、君の後ろ姿。
見とれていたなんて、言えるはずがない。
A:「もう。短冊をかけるところ、なくなっちゃうよ」
B:「なくならないって」
天の川の様な、浴衣の柄。
合わせて揺れる、君の仕草。
B:「願い事は、決まっているのか?」
A:「そうねぇ……もちろん、決まっているわ」
やっぱり、目標の全国出場だろうか。
B:「……なんて書くんだ」
A:「ヒ・ミ・ツ。キミは?」
B:「なら、俺も秘密だ」
俺も同じように、全国出場の目標を持っている。
ただ……今日ばかりは、違う願いを、書いてしまうかもしれない。
A:「……来年も、さ」
B:「え?」
A:「また、来ようよ」
B:「ああ。そう、だな」
一年に、一度。
頬を染める、彼女に会える日。
それもまた、待ち遠しいのかもしれない。
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