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もてなしの支度に忙しい両親に代わって
玄関を開けた僕は。
「こんばんは」
「ああ、どうぞ……」
ワインボトルと百合の花束を抱えて
杉浦夫妻の後ろに立つ青年に
瞬時に目を奪われた。
「――息子なの」
夫人が少し気まずそうに言った。
「安寿(アンジュ)です」
それもそのはずだ。
どこぞのギャルソンと見紛う長身の彼は。
蜂蜜色の髪。
緑がかった瞳。
そして抜けるように白い肌。
純和風な雰囲気の夫婦とは
明らかに気色の違う異人種だった。
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