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ちいの部屋はなんていうか…
「可愛いね。」
ピンクを基調とした女の子らしいとても可愛い部屋だった。
「すいません。先輩が来るって分かってればちゃんと片付けたんですけど…」
「ううん。ごめんね、突然にお邪魔して。だけど十分片付いてるよ。それにうちは女兄妹がいないからこう言うの新鮮だな。」
「本当ですか?あっ、えっと何か飲み物…」
部屋から出ていこうとするちいの腕を取る。
「先輩?」
聞かなきゃ。
この前のこと。
ちゃんと、聞かなきゃ。
だけど、中々言葉が出て来ない。
するとちいが、
「あっ、えっと、じゃあ、チョコ渡してもいいですか?」
少し照れながら言った。
「あっ、うん。そうだね。楽しみ。」
僕はちいの腕を離すとその場に座ることにした。
テーブルを挟みちいがおずおずと小さな箱を出す。
「開けても?」
「はい。」
緊張顔のちいからその箱を受け取るとゆっくりリボンを解き蓋を開ける。
「うわぁ。これ、ちいが?」
トリュフが綺麗に並んでいた。
「はい、ユズカの知り合いにショコラティエの方がいてその人に教えて貰いました。美味しいチョコの作り方を。」
ショコラティエ…
もしかして?
「ちい、送ってもらったりとかした?僕の勘違いかもだけど。」
ちいの顔が極端に強張る。
やっぱり。
きっとそうだ。
この前、車でちいを送ってきたやつに間違いない。
僕はいよいよ覚悟を決めた。
でないとこのチョコを口にすることは出来ないよ。
「ちい?そのショコラティエと何かあった?正直に教えてくれないかな。」
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