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それでも以前同様、先輩はいつだってスーパーでスペシャルな事に変わりない。
「王子、相変わらず器用だよね。」
月日は流れ春、4月になると新入生が入ってきた。
私は2年に。
先輩は3年に。
そして先輩は今、入学式の壇上で在校生代表として歓迎の言葉を述べている。
はあ…
格好いい。
堂々としていて、そしてあのスーパーでスペシャルな笑顔。
未だにこんな素敵な人が彼だなんて信じられなくなっちゃう。
ある時、目が覚めたら全部夢だったなんてオチないよね?
はぁ…、ほんと先輩格好良すぎです。
「おい、おいって。」
「へっ?」
隣に座るユズカに肘を突かれハッとする。
「あのさ、ヨダレ出てるよ。」
「えっ、ほんと?嘘でしょ?ほら、ユズカお得意のジョークなんでしょ?」
「いや、今回、マジだから。」
「えっ、嘘、わっ、やだ…えっとハンカチハンカチ…」
「あんたさ、そんなんで大丈夫なの?ほれ、ハンカチ。」
ユズカが呆れながらもハンカチを差し出してくれる。
「ありがと…。大丈夫って?なにが?」
受け取り口元を拭きながら聞き返すと
「あのさぁ、新しく一年が入ってきたって事はまた王子の毒牙にやられるって事だよ。」
いや、毒牙って…
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