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案の定、入学式以来、先輩はまたたく間にヒーローとなり、そして彼女である私はまたもや氷の様な視線をいくつも投げつけられ、それでも暫くすると落ち着いてきた。
もちろん、例のごとく先輩の周りを全く気にしないスキンシップのお陰で少しは落ち着いたけどやっぱり先輩の人気は変わらない。
そりゃそうだよね。
私だって今でもドキドキしてるもん。
先輩と過ごす毎日がキラキラ輝いて見える。
先輩が私にくれるスーパーでスペシャルなあの笑顔を見ると幸せだなって心から思う。
なのに人って欲張りだよね。
いつだって先輩は私の事を優しい眼差しで見てくれているのに、もっと、もっとって思ってしまう。
まるで先輩がある日、突然、消えて無くなってしまうんじゃないかって。
子供の頃に海水浴に行った時に作った砂のお城みたいに、
キラキラと輝いて見えたそれはたったのひと波で何もかも消えてしまった。
まだ幼かった私は泣いたけど消えた砂のお城は二度ともとの形には戻らない。
最初からそこにそんなものは無かったかのように…
消えて…
無くなってしまったんだ。
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