122人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
お兄さんの会社へ行ってから少しして先輩が夏休みになったら南の島へ行こうと言った。
その島は夙川グループが所有する島で、昨年の夏にみんなで行ったところだ。
前回は先輩の家族も一緒だったからとっても賑やかだったけど今回は私と先輩二人だけ。
本当なら浮かれてしまいそうな旅行なのに、私の心は沈むばかり。
島に到着すると別荘ではなく
「海辺の小屋に泊まろう。」
って先輩が言った。
海辺にある小屋はかつて先輩が一人になりたい時に使っていた場所で、そして私達にとっても思い出深い場所だ。
私達は前に来たときみたいにまた海で泳いだり砂浜で遊んだり楽しんだ。
その一時だけはなにもかも忘れていた。
だって先輩も心から楽しんでいるのが分かったから。
先輩の顔を見れば、伝わってきたから。
だから私もその時だけは楽しんだ。
先輩と過ごす今を目一杯楽しもうと思った。
最初のコメントを投稿しよう!