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あの日、黙って急に私の前から消えた癖に。
もし会った時には絶対文句の1つでも言ってやるって決めてたのに。
先輩、ずるいよ。
その顔で好きだなんて反則です。
だから、文句の代わりに出てくるのは涙ばかりでとてもじゃないけど声なんて出せないから大きく首を縦に降ったんだ。
何度も何度も。
その途端、私はまた抱きしめられ、そして
ーーーキスしてもいい?
なんて遠慮がちに聞いてくるから可笑しくてつい笑っちゃったら。
「止めた。するっ。」
拗ねた様に言う先輩の唇が重なった。
何度も何度も軽く触れるだけの口づけは次第に深まっていき、ほんの少し開いた隙間から先輩の舌が遠慮なく入ってくる。
あっという間に私の口内を支配する先輩のキスに息を吸うことも許してもらえない。
「んっ…」
私達は時間が過ぎるのも忘れて、これまでの時間を取り戻す様にただ唇を重ね続けた。
初めてキスをした思い出のこの場所で。
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