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〈晴人side〉
僕は一人アメリカへ向かう飛行機の中でこの数週間の出来事を思い返していた。
僕は将来的にも夙川グループの人間としてちゃんと動ける様にその準備に取りかからなければならなかった。
別に家族に言われた訳じゃない。
僕が密かに決めていたこと。
それは留学して経営学を基礎から学びそして卒業後もアメリカに残りうちの支社で仕事をする事。
夙川家の一員として力になりたかった。
その話を家族のみんなに話したら猛反対された。
いつだって僕の事を優先してくれた家族が初めてノーだと言った。
もちろん、僕を思っての事だって理解している。
それでも僕も自分自身で決心した事を曲げるつもりは無かった。
どうしてもこのままじゃ駄目だと思うから。
ぬるま湯にいつまでも浸かってる訳にはいかないから。
何よりも体の弱かった僕をこれまで支えてくれたみんなの為にもやり遂げたかった。
それはちいとの永遠の別れになるかもしれないけれどーーー
いや、そうはさせないつもりだ。
ちいのことを諦めるなんて出来ない。
ただ、今は何も言えないんだ。
こんな中途半端な僕のままじゃ待っててなんて言えないよ。
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