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「お陰で大抵の事は出来るようになったんだけどね。」
それでかぁ。
先輩が何やってもデキる人なのは。
そりゃ、スペシャリスト達に子供の頃から教えて貰ってりゃオリンピックレベルにもなれるわ。
「でもさ、」
驚くしかない私に先輩が話を続ける。
「いくらもう今は健康な体でピンピンしてるっていってもやっぱり家族からしたら僕の事心配らしくてさ。それで何かにつけてあんな感じになっちゃった。」
「そうだったんですね。それで皆さんあんなにも…」
先輩に構うのかぁ。
「でもね。」
私が納得しつつあると晴人先輩がいう。
「僕、そんなに嫌じゃないんだこういうの。結局、僕の事をそれだけ大事に思ってるって事だから…。そう思うとみんなの事怒れないんだ。こんな僕キライになった?」
って薄茶色の瞳をうるうるさせて先輩が言うから…
「そんな…キライだなんて…」
思う訳がない。
そんな風に自分の家族を大切に思える先輩がますます好き。
ううん、これから先、どんな事があったとしてもやっぱり先輩が好きって気持ちは変わらない。
「私、先輩が好きです。この気持ちは簡単には変わりません。」
「そっか…安心した。嫌われたんじゃないかなって不安だった。」
こんなスーパーでスペシャルな先輩がそんな風に思ってくれるなんて。
「大丈夫ですよ。」
もう一度、伝えると
先輩は私にゆっくり顔を近づけると漸くあの日以来の2度目のキスをした。
今度は誰にも邪魔されなかった。
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