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パーフェクト過ぎる男子高生である私の彼、夙川晴人先輩の残念な部分を知ってからも私達は順調に交際を続けていた。
けれど、先輩と付き合ってるって事が体育祭後に一気に学校中に広まってそれなりの騒ぎとなっている。
ほら、また教室の外からも…
「えー、なに、あのちんちくりん?」
「あんなんで晴人先輩と釣り合うとでも思ってんの?頭、ヤバいじゃない?」
「だよね?フツー過ぎてツッコミ所もないしさ。」
ええ、皆々様の仰る事、重々承知しております。
どこをどう取ってもフツーの私がスーパーでスペシャルな晴人先輩の彼女だなんて、そりゃもう頭おかしくなりそうですよ。
「なんだ、あれ。きこえてるっつーの。ちい、気にすんな。なんか、された時はアタシにちゃんと言えよ。」
口は相変わらず悪いけど、ユズカはやはり優しい。
親友の優しさに折れそうな心も強くなる。
「うん、ありがとう。先輩も同じ事、言ってくれてる。だから、大丈夫だよ。」
こういうこともあるだろうなってそりゃ想像はしてたけど、やっぱりへこむよね。
ほんと、なんで何の取り柄もない私みたいなのと付き合う気になったのかな。
好きだって言ってくれたけど…
私の好きと先輩の好きは重さが違う気がする。
私が彼女で本当にいいのかな?
考え出すと不安しかでてこないよ。
「あのさぁ、毎回言ってるだろ?ちいはちいの出来ることをしてりゃ良いんだよ。」
「私が出来ること?」
それってなんだろ。
先輩に私がしてあげれることーーーー
いつだって私の事を見てくれている先輩。
私が不安になった時や困った時、必ず助けてくれる。
私の事を守ってくれる。
そっか…私、
「ユズカ、ありがとう。私の出来る事、分かった。」
そうだよ。私の出来る事、それはーーー
「先輩の事、信じるっ。」
思わず出た大きな声に呆れながらもユズカは親指を立てて笑い返してくれた。
私が出来る事、大好きな先輩の事を何があっても信じるっ。
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