初めての…別れ

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明け方、目覚めると私はちゃんとベッドで眠っていた。 そしてーーー 先輩はどこにもいなかった。 ただ、波の音だけが静かに聴こえていた。 この世に私だけしか存在しないんじゃないかってくらい静かだった。 私… どうしたらいいんだろ。 先輩… なんで、一言いってくれないんですか? ーーー待っててって。 私はもう待つことも許されないのだろうか。 またじわりと涙が溢れてくる。 顔を洗いに洗面所に行くと、鏡を見て驚いた。 首筋に赤い花びらの様な跡があったから。 「晴人先輩…」 ずるいよ。 こんなの残すなんて。 ずるいよ。 待てって言わなかった癖に… そっと指で触れるとそこに熱を感じた。 先輩の思いが伝わってくる。 泣き疲れて眠る私に先輩はどんな思いでこの印をつけたの? 教えてよ、先輩。 どうして? 私、こんなんじゃこの先、前に進めないよ。 私の心はこんなにも乱れているのにそれでも波の音は一定のリズムで静かに響いていた。
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