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7月7日
世間では七夕だと騒ぐ日に
あいつは毎年やってくる。
俺の彼女が出来ない原因
「七夕だよ!お祭りだよ!」
今年も唐突に俺の目の前に現れたあいつは、俺を家から引きずり出した。ちらりと見ると、あいつは去年と同じ浴衣姿だ。変わらない。
「この1年何してた?」
「内緒」
「...そうか。俺も会いにいけたらな...」
俺が言うとあいつは苦しそうに笑った。
「...来ちゃ駄目だよ。」
「短冊になんか書くのか?」
俺が訊くと前を歩くあいつは笑顔で振り返った。
「来年も逢えますようにって。...書かないの?」
「俺は...いいや。」
「えぇ~っ?? なんでよ。勿体無い...」
唇を尖らせるあいつを横目に、俺は小さく息を吐く。
...叶わないなら願わない。
日付が変わる。一番辛い時間。
「...また来年」
苦しげに言うとあいつは笑って消えていった。
7月7日
それは
あいつの命日
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