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【自分のせいにすることで浅間さんの罪を軽くしたがってるパーシヴァル】
「ねえねえ! パーシィって何人殺したことがあるの?」
物騒である。ここの人間たちは基本的に物騒だがこの会話を振ってくるのが幼女という時点でぶっ飛んでいる。クロヴィス様はどういう教育をして――ああ、いやなんとなくわかるからいいや。
「俺は人を殺したことは――一度だけ、ですかね」
何を言ってるんだ俺は。なんでこんなことを話してるんだ。でも止まらなかった。栗毛の長い髪を持つ少女は「ええ!? ひとり、少ないね!」と目を丸くしている。
そうだ、俺が殺したようなものだ、見殺しにした。まだ息があったのに、まだ息があったのに俺が浅間さんを彼女に触れさせてしまったから。――違う、それだと俺のせいじゃなくて浅間さんのせいじゃないか。
「……? パーシィ? どこか痛いの? どうして泣いてるの? ねえ、パーシィ?」
「アレミラ、クロヴィス様が呼んでいたぞ」
聞き覚えのある声に顔を上げると無表情な同僚が立っている。モルドレッドこと赤井 准。俺の本当の意味での同僚だ。
「……連絡があってきてみれば。どうした」
「いいえ。なんでもないんです」
浅間さんのせいじゃない。俺のせいだ。他人に罪をなすりつけるな。俺が動かなかったから稲嶺さんは死んだんだ。バイクに轢かれた時点で彼女は死んでいたんだ。浅間さんのせいじゃない、これ以上あの人に罪を被せられない。これ以上――浅間さんを傷つけたくない。それは俺のエゴで、自己満足で。
「俺……人殺したことあるんですよ」
「……? 気でも触れたか?」
★
事実を捻じ曲げてでも救いたい人がいるって話。
ちなみにモルドレッドが言った連絡は荻野さんから。
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