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【悪徳部男性組】
「痛……もっと優しくしてくださいよ浅間氏……」
「気持ち悪い声出すんじゃねーよ、強化人間の蹴りまともに食らってあれだけ大立ち回りするとかお前馬鹿だろ。昔はもっと賢かったのになァ」
ぐぬぬと俺が歯噛みしていると、「まあまあ、浅間先輩も助かったことだしいいじゃないの」と爽やかに登場してきたのは遥さんだ。その白衣の左腕は自身から流れる血で赤く染まっている。
「遥さんっ!? その怪我――! いでででっ!」
「秋山――今はパーシヴァルだったか? あまり動かすな。……テメェが一番重症なんだよ荻野。左腕見せろ。あと背中だ。体の動かし方がおかしい」
遥さんは一瞬嫌そうな表情をしたが、すぐに言う通りに白衣を脱ぐ。白いシャツは左腕と背中のみ真っ赤に染まっており、雑に巻かれた包帯を解くと何かに切り裂かれたような傷跡。そこからは未だに血液が流れ出ている。
「切断能力持ち――スライサーに見つかっちゃってね。刃に毒を塗っていたみたいだけど解毒薬は飲んだから心配しないでも大丈夫だよ浅間先輩」
「大丈夫かどうかは俺が決める。まずは止血だ」
そう言って彼は強化人間と超能力者がごろごろ転がる広場を見据えながら遥さんの治療に入る。
★
怪我をごまかそうとした荻野さんとお見通しな浅間先輩と大立ち回りが描かれない秋山くん。
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