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ターゲットが寝た事を確認する為に瞼を慎重に開ける。……どうやら本当に寝ているようだ。眼球が動いていないことを確認した俺は、次の計画に移行する。
「一応ガムテープで口を塞いで手足を縛っておくか」
車をここまで運ぶ為に少し間、手袋をはめて相手を拘束して風呂場に移動させた。そして携帯電話を探し貰っておく。拘束したのは仮に睡眠薬の効果が切れて起きてしまった時の保険用だ。風呂場であれば声を出しても気付かれ難いし、身体を少し動かせても音を立てる物がない。
「念には念を……ってな」
運んでいる最中欲望に駆り立てられたが我慢した。起きた時に服装が乱れていては相手の警戒心を増幅させてしまう。我慢だ、我慢するんだ、俺!
欲求に耐えた俺はこの部屋の鍵を拝借して部屋を施錠して出た。時刻は二十三時で平日であった為人気は少ない。中々良い状況だな。直ぐに車を近くに停めて部屋に戻った。
「起きては……いないか」
抵抗した痕跡もない。ぐっすりと寝ている。
「さてさて運ぶとしますか」
拘束を解き、相手の腕を拝借して自分の肩に回すようにして部屋を出て施錠をする。
「おいおい飲み過ぎたのか? おーい、大丈夫かー?」
周りに拉致と思われぬように小芝居をしながら運ぶ。これで怪しまれる事は少ない筈だ。俺は自分の車まで辿り着き助手席に乗せシートベルトを掛ける。遠出する為に燃料は満タンにしてあるので途中で降りる事はない。三時間程が経過して自分の住んでいる田舎に辿り着いた。朝の二時ぐらいなので人は殆ど見ないが同じ小芝居をしながら降ろした。
慣れた手つきで自分が住んでいるアパートの部屋を解錠して中に入り施錠をする。まだ油断は出来ないが計画の半分以上は成功した。
「後は椅子に座らせて手足を拘束するか」
木材で出来ている肘付きの四脚椅子に彼女を乗せる。右手、左手の手首にハンドタオルを軽く巻き、肘掛けに乗せてガムテープで五回程巻き付けて、その上から縄で縛る。同じ要領で両足も椅子に固定した。
あー、座る部分にクッションも置いておこっと。流石にないと痛いだろうし。座布団だと微妙そうだし、クッションが良いだろう。多分。
「本当に元カノに似ている……な。でも、俺的にはこの子の方が好みだな」
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