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――一方その頃……
「くっそ~ あいつ旨そうに食いやがって……ああ、腹減ったな…」
広場の入り口、フェンスに張りめぐらされたつる薔薇に紛れるようにして、ひっそりと身を潜ませるひとりの少年……涙をさそう、その哀愁ただよう後ろすがたは――
「凜の野郎……碧羽に妙なマネでもしてみろ、ぜってー許さねえ」
盛大に腹を鳴らしながら、凜の毒牙から碧羽を守るためにストーキング……尾行してきた、正義の味方の漸である。
けれどいったい、どうして碧羽が凜とピクニックなんて展開に? などと胡乱に思うだろう。そんな疑問にそつなく答える、『千隼のおしえてQ』がやってまいりました。
ことの発端は先週、碧羽がふたりにお願いした『リアルBLゴッコ』を、身体を張ってやり切ったその功労として、凜がねだったことにはじまる。
碧羽のコツコツと集めたBLコミック本は、彼女秘蔵のBLライブラリーにまだ巨万(ごまん)とある。それら禁断の書をつかって、碧羽は再び彼らに『リアルBLゴッコ』させたがっている。
その旨を彼らに伝えた碧羽に対し、凜が「それなら僕らがやる気の出る褒美くれる?」と、悪ぶれもなく彼女に言ってのけたのだ。
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