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だが、そうはいっても凜である。碧羽の貞操が危ぶまれた。
漸は目のまえの悪魔の顔を睨めつけながら、心に誓ったのだ。 ……見張ってやる! と。
そんなこんなで、ただ今のスト……ディティクティブ行為に至るのである。
「しっかし……まじでパンかなんか、持ってくりゃよかったぜ」
碧羽の弁当に舌鼓をうつ凜を恨めしそうに睥睨し、その序でに腹も鳴らす漸。哀れにもほどがある。 ……貧乏くじを引かされることに、そろそろ快感を覚える――
「はず、ねえだろッ!」
色づく木の葉が彼の背中をかすめるようにして、木枯らしとともに散ってゆく……
「ねえ、碧羽。ほんと……涙ぐましいよね。ふふ…哀愁漂わせながら、睨んでるよ」
「かわいそうだよ……やっぱり呼んじゃダメ?」
「今日の碧羽の時間は、すべて僕のものだよ? 他の男のことなんか気にしないでよ。それにさ、勝手についてきたのは漸だよ? 僕は家で留守番してろって言ったのに」
「けど……」
こっそりと、バレないようにストーキングしてきた漸は、しっかりと凜たちにバレていたのであった。 ……あ、ストーキングってほんとうのこと言っちゃった。
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