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「そんなことよりさ、これも食べていい? すっごくおいしそうだよね♪」
「あ……うん、食べて。凜のために作ったんだから、遠慮せずたくさん食べてね」
「わーい♪ いただきまーす! アムッ……ん~♪ おいしいよ♪ 碧羽は良いお嫁さんになるね。 ……僕のお嫁さn――」
「やだッ、凜ったらッ♪」
「!?ッ―――ぐぇッ」
凜がはなし終えるまえに、彼が口にした『良い嫁』というワードに碧羽は過剰反応する。碧羽の見事なまでの右フックが、凜の頬へと炸裂した。
予期せず油断した凜は踏ん張りが利かずに、背後のクヌギの木めがけて吹っ飛んだ。
「!!ッ―――凛ッ だいじょうぶ!? な、なんてこと……だれが……こんな、ひどいこと」
――他でもない、碧羽であった。
遠くから、漸の笑い声がする。この上なく弾む漸の笑声は、しかし腹の虫の鳴声と輪唱していたという噂である。
* * *
「凜……どう? まだ頭痛い? ごめんね……タンコブできちゃったかな」
「うふふ……そうやって、碧羽が優しく撫でてくれたら、きっと良くなるよ」
これぞまさしく男の至福。凜は堂々と、碧羽のひざ枕に相伴(しょうばん)に預かっている。
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