◆癒やし屋

5/6

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
殿方は冷やしていたアイシングを取り除いて、 なにやら私の足をじーっと見ている。 ―――― もう見ないで・・・ ―――― 顔が熱くなっているのが自分でも分かる。 とてつもなく、恥ずかしい。こんなにも人に見られるのが恥ずかしと 感じた事はなかった。 細長い指が私のくるぶしのあたりを触っている。 「イタッ」 突然、のけぞるような痛み。涙目になってしまう。 「あぁ。ごめんね。痛かった?」 「ちょっと、別の場所をいくつか叩くから響いたら教えてね」 ―――― こんこん とんとん ―――― 「痛みます?響きます?」 「いいえ」 「じゃぁ、まぁ、折れてはいないだろうね」 なにやら、足に薬を塗ってくれているみたいだ。 そっと触られるのが妙にくすぐったい。 「肌が弱そうだから、テーピングより包帯にしておくからね。」 すごく慣れた手つきで、殿方は包帯をしてくれている。 「これで、ひとまず、足首はオッケーだね」 転んだ時よりも幾分足の痛みが和らいでいる。 「あ、ありがとうございます」 「じゃぁ、身体を起こしてみて」 時計をみたら30分が経っていった。 「ちょっと待ってね。今、ケガに良いやつ持ってくるから」 ニコニコした笑顔のまま、殿方は奥に引っ込んでしまった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加