◆既読

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先生は優しい。特に、人に対しては甘い過ぎるぐらいだ。 人の為に、人の為にと何でも出来ることはしてしまう。 怜美(れみ)との出会いの時もそうだった。 足を痛めた怜美に包帯し、食事を提供し、彼女を翌日には スッキリ元気な気持ちで出社させることに成功している。 受け止める度量があるのか、懐が深いのか、 大抵の女性は、先生に会うとコロッっと心を持って行かれる。 いや、先生に出逢った人は、女性でも男性でも、元気になるのだ。 先生を感じると、笑顔になる。 怜美(れみ)はまさに「既読」の文字をみて笑顔になった。 ――― 先生が帰ってくる ――― そう素直に感じた。 ただそれだけで、世界中が明るくなった。 雨足も弱まり、虹が掛かった。 『もう大丈夫。』 怜美に不安は一遍も残っていない。
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