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突然の出来事だった。
鉄の排水口にヒールを取られてしまった。
急いでいる時は、ツイてない時が多い。
ストッキングの下からは血が滲んでいる。
大人になってから転ぶと、どうしてこんなに
大変なんだろう。
その瞬間は恥ずかしさで、痛みも忘れていたが、
本当に痛かったのはその後だった。
ズキッ。
足首がもう動かせない。立てない。
なにより、地べたにへたっている自分の姿が
恥ずかしくてなお動けない。
「大丈夫ですか?」
不意に声をかけられて、反射的に
「大丈夫です!」
と答えたものの、人がいることにも気がつかなかったし
この状況を見られた恥ずかしさから逃げたかった。
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