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死んだ者の未練。
耶俥誠司はそう言った。
"霧子の愛するものを守れるなら本望だ"
剛に言った時の言葉に嘘はない。そもそも俺は嘘をつくことは苦手だ。
だが、頭の何処かにあったのかもしれない。
"霧子の愛するものを守りきれなかったことへの未練"が。
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「……」
黙りこくっているチェイス。
どうやら図星を突いてしまったらしい。
「…まあその、なんだ…悪い意味じゃないんだ。気にすんな」
頭を掻きながら謝罪する。
相変わらず表情の読めないチェイスであったが、ぼそりと
「ありがとう」
と呟いた。
「…なんか騒がしくねえ?」
呼道が言った。
気づくと確かに、外の様子が慌ただしい。
原因は
「外で化け物騒ぎが起きてるみたいね、行くわよ…」
西園寺が教えてくれた。
「お前仕事は?」
「もう上がりだけど、それ以前の話でしょ」
駆け出していく西園寺に連れて、男子3人の食事会は終了した。
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