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だって、と上擦った声で彼女は話す
「…涼香ちゃん、捕まって欲しくなかっ」
トン、と肩を押す
地面から浮いた足、無力に空を掴もうとする指先。
驚いたような、呆気にとられたような間抜けな表情。
―――ふわりと場違いなほど優雅に舞うスカート以外は何もかも、あの時と一緒。
「ごめんね?」
ごつん、と鈍い音がする。
夕日に混じった地面の赤へ、
にこりと微笑んで私は学校へと踵を返した。
―――ニュースです。先日男子高校生が転落事故を起こした〇〇高校の生徒が死亡しているのが発見されました。警察は事故、自殺の両面、また先日の転落事故との関連性を調べ捜査を続けているとのことです。
誰にも言えない、私だけの秘密。
これは墓場まで大事に持っていこう。
………これからも、秘密は増えちゃうかもね?
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