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病室に戻ると、おばさんが僕へ春樹のスマホを手渡した。
ひび割れた画面。
拭き取られても残った血痕。
見ているだけでも、辛くて泣きそうになった。
教えられていた番号でロックを外した。
とりあえず、Twitterとタイムラインで春樹の死を告げた。
反応は思っていたより早く、春樹の人望を感じた。
「これは裕希くんが持っていてちょうだい。」
おばさんは僕に、そっとスマホを握らせた。
「でも…」
「いいから、持っていて。お願い。」
「…分かりました。」
僕は春樹の形見を受け取った。
物が物なので、少しちゅうちょした。
でも、ありがたかった。
この中には、春樹が撮ってきた写真、全てが入っているのだから。
「ありがとう…ございます…」
僕はまた、溢れそうになった涙を我慢して病室を後にした。
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