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「ねえ、短冊、なんて書いた?」
着物姿の君が、振り向いて言う。
今日は七夕祭りの日。お隣さんの君と、家の前で待ち合わせして。
屋台がある神社までの道、いつものアーケード。
そこの小さなスーパーに、毎年笹が飾られている。
あまり多くはないとはいえ、この町の人のほとんどが短冊をくくりつけるから、ほぼ紙の塊になっているけど。
彼女はその笹の短冊について尋ねたのだろう。
「ん?えっとさ、金持ちになれますように、って。」
「夢がないねー。」
「うるせーよ。」
僕は嘘をつく。少し顔が赤くなるが、夜の暗さが僕の顔色を隠してくれる。
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