第1章

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10数回目を終えた帰路、車のバックミラーを何気なく見たら、鼻血が出ている事に気が付いた。 これが止まらないのだわ、ティシュを鼻に突っ込んでも、上を向いて安静にしていても止まらない。 仕方なく家の近くの総合病院に向かう。 病院で看護師さんに検査室に連れて行かれ、血をたっぷり抜かれた後、検査室の前の廊下で検査結果を待っている私の耳に、検査技師の叫び声が聞こえた。 「何じゃこりゃ――! ありえね――」 検査室に医師や看護師さん達が慌ただしく出入りした後、私は大学病院に移送され隔離される。 大学病院で、放射能防護服を着用した医者に聞かされた話しでは、私の身体は放射能で汚染されているとの事だった。 良く考えたら当たり前だよね、砂を採取するとき防護服を着用する事も無く、放射能で汚染された砂が入った袋と共に長時間、一緒にいたのだから。 説明を受けた後、警察や病院の医者達に根掘り葉掘りいろいろ質問されたけど、その頃には私の意識は混濁していた。 混濁した私の意識の奥底にあったのは、この話しは墓場まで持って行かなくてはならない、って事だけだったな。 え! 話しているじゃないかって。 墓場まで持って行ったのだよ、本当に。 それなのに話しちゃた理由はね、今、凄く暇なの。 死んで灰になった後も放射能濃度が高すぎて、鉛の骨壺に入れられ、鉛とガラスで覆われた墓に隔離されているから。 別に嘘だと思ってくれても良いよ。 日本のお巡りさんって優秀だから、私の行った事は解明済みかも知れない。 あなたが東京やその近隣県に住んでいるのなら、ここ数年の間に、あなたの周りの公園や学校の砂場の砂が、総入れ替えされていないか調べて、されていたら、その理由も調べてみると良いのではないかな。
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