第2章

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「おはようございます!」 まだ陽が昇るには早い時間。自宅から続いている店の裏口を秋月が潜ると、カウンターから顔を覗かせた夏目の明るい声が出迎えた。店の二階の六畳間に住み込みで入った夏目は、秋月が母屋からこちらに来る頃には、起きて掃除にかかっているのが常だった。 この店で自分以外の人間が動いているのは久しぶりで。別に独りが苦になっていたわけではないけれど、声を掛け合う相手がいるのはやはり心を和ませる。 「店の掃除なんか、仕入れから帰ってきてからでいいのに・・・・・・あんまり張り切ってると疲れるぞ?」 古木のカウンターをきゅきゅと磨き上げる夏目に、秋月が声を掛ける。 「身体動かしてる方がいいんです」 にこりと笑う顔は明るくて、暖かくて。まだ昇ってはいない太陽を思わせる。
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